2008春闘 大幅賃上げを

−会社の言い分はあまりに身勝手−

 今年も春闘が始まりました。川重労組も「アクティブプラン08春季」として2月8日、会社に要求書を提出しました。

 今年の春闘の焦点はなんと言っても賃上げです。労組が要求したのは主に、
1.平均3000円の賃上げ
2.時間外労働の割増率アップ(休日50%、月45時間を上回る時間外労働は50%)
3.労働災害付加補償の引き上げ
4.積立休暇の日数拡大
などです。

 日本の大企業は、正規労働者から非正規労働者への置き換えや、成果主義賃金制度を含む賃金水準引き下げなどで、空前の儲けを上げる体質を作り上げました。その結果、労働者の賃金は毎年下がり続け、極めて困難な生活に追い込まれています。
 このような格差社会への批判が強まる中で、御手洗冨士夫・日本経団連会長は 「成長で得られた成果は、賃金の引き上げで、家計に確実に配分されることが必要だ」と発言せざるを得なくなりました。しかし同時に「賃上げは支払い能力のある企業のみ」ということも付け加えており、本気で賃上げをやる気があるのかはなはだ疑問です。
 一方、全労連では「なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会」を統一スローガンとして闘っています。また、連合でも「賃金の底上げと格差是正に結びつく賃金改善、非正規労働者の処遇改善や正社員化、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた労働時間の短縮、国際的に見て低すぎる割増率の引き上げ等に積極的に取り組む」という方針を掲げています。

 こうした中で川重でも労使交渉が続いていますが、2月28日に開かれた労働協議会で会社側は賃上げなどの要求に対して否定的な発言をしています。

 まず、賃上げに対して、「賃金の実質的価値の維持という観点では、・・・当社では定期昇給制度を整斉と運用してきている」としています。しかし実態はどうでしょうか。ここ10年の賃金の動きを見てみると、組合員の平均基準賃金は2004年度の330,545円をピークに下がり続け、2007年度は307,943円と7%もダウンしています。人員も同時に減っていますから、定期昇給どころか「定期減給」になっていると言っても過言ではないでしょう。
 しかも一時金に関しては、「業績に見合った還元は賞与で行うというのが当社を含めた産業界全般の主たる考え方になっており、当社も業績の改善に応じて相応の還元を行っている」と、一時金は後払いの生活給の一部であることを否定しつつ、いかにも組合員に恩恵が回っているような言い分です。しかし2007年度の年間一時金は165万円と1998年度レベルに戻っただけ、加えて会社の経常利益は2001年度から3倍近くも上昇しながら一時金は1.44倍しか上っていません。これで本当に「相応の還元」と言えるのでしょうか。

 他にも、時間外割増率については「国会審議でも取り上げられているように国全体、社会全体で取り組むべきテーマ」と消極的です。国会審議まかせにするのではなく、組合員の要求に耳を傾けて、会社として責任ある態度を示すべきです。
 川重などの大企業では法定割増率を上回って設定されていますが、そもそも欧米などに比べて低いのが現実です。欧米では通常の残業が50%、休日は100%割増というのが常識です。従って残業代を払うよりも人を雇った方が安く上る、また一人当たりの労働時間も抑制できるのです。
 ところが川重では総労働時間が年々増え続け、2001年度には2000時間を突破し、2006年度には2142時間にまで増加しました。この時間外割増率の低さが長時間労働の背景になっています。
 労働強化によって増え続ける労働災害や精神疾患、過労死をなくすためにも、また人を増やして次世代への技術伝承を行うためにも、さらには労働者が自らの生活を楽しむ真の意味での「ワークライフバランス」を享受するためにも、時間外労働の割増率アップは絶対に必要です。

 今日(3月12日)、会社側から2,000円の賃上げ回答がありました。
 川重労組は、低い回答に満足することなく、断固当初掲げた項目のすべての要求貫徹のためにがんばって、川重労働者の期待に応えて欲しいものです。

(08.03.12)