石川島播磨重工業

40年の思想差別 勝利
*** 労働者175人と和解 再発防止を約束 ***

 石川島播磨重工業は2007年1月19日、日本共産党員やその支持者とみなした労働者に対する思想差別を反省し、再発防止策を約束しました。

 石播の東京、武蔵、横浜、愛知、相生、呉の6事業所で働く労働者175人が会社側と和解した争議は、日本共産党員や支持者を"企業破壊者"と敵視してきた反共労務政策が完全に破綻したことを意味します。

 「大企業が初めて思想差別と人権侵害について明確に『反省の意を表明』したのは、画期的な意味を持つ」(弁護団の菊池紘弁護士)ものです。

どのようなことをやってきたの?

 石播は、「ZC(ゼロ・コミュニスト=共産党員撲滅)計画」を作成し、賃金・資格での差別、仕事の取り上げ、歓送迎会や職場行事からの排除など40年にわたり、日本共産党員やその支持者とみなした労働者に徹底して差別を繰り返してきました。
また、個人名をあげて党員らを監視、管理する「厳秘」の「個別管理計画」の存在も判明しました。

 「ZC名簿」に載った労働者には、職場の秘密(インフォーマル)組織を通じて「日共は会社を辞めろ」と反共宣伝を強め、「口をきくな」「あいさつするな」「行事に呼ぶな」「香典を受け取るな」と"職場八分"にしてきました。

 さらに、差別査定を口実に再雇用の拒否、隔離を目的とした出向、見せしめでの職種転換、エレベーターに乗っていると、誰も一緒に乗らないという差別など思想差別、人権侵害を行ってきました。

 野蛮な思想差別は、切実な要求実現の先頭に立つ日本共産党員らを差別・排除することで労働者の団結を破壊し、自由にものが言えない職場をつくり、労働者全体の支配を強めるのが狙いです。

再発防止協定の意義は?

 今回、労働者側と石播が合意した再発防止協定は、職場の基本的な人権の尊重を徹底するため、コンプライアンス・ガイド(法令順守の手引書)を作成し全従業員に配布する、ホームページに掲載する、部長ら人事担当者に教育を実施する、また思想差別だけでなく、セクハラといった性差別の禁止なども掲げています。

 この協定は石播の労資にとどまらず、偽装請負やサービス残業、パートや派遣など非正規労働者の差別的雇用の拡大など大企業の職場に横行するすべての差別をなくし、職場に自由な人間関係を確立していくうえでも重要な方向を示しています。

世界の流れは?

 国連が提唱する「グローバル・コンパクト」(人権・労働・環境・腐敗防止の四分野での普遍的十原則を支持・実践するよう参加企業に呼びかけるプログラム)への参加状況も世界で2236企業(05年9月)から、現在114カ国3934企業(07年2月1日)へと大幅に増加しています。

 03年に日本で11年間に及ぶ男女差別事件を抱えた企業に、国際的な企業・営業活動が出来なくなる事態が発生しました。これをきっかけに04年から大企業の人権・差別争議の多くが企業側からの相次ぐ和解申し出となっています。

 日本では、まだまだ大企業のやり放題がまかり通っていますが、グローバルな社会の方向は、まったく逆です。いま、ILOで新しい労働基準の策定が始まっていますが、それは人権、労働、環境、腐敗防止問題に対して、「グローバル・コンパクト」をより発展させるものとなるでしょう。

再発防止協定の概要

(1) 会社は申告者・原告に対し、賃金・資格、仕事、行事参加などで差別的な人事管理が行われたと受けとめられてもやむをえない状況があったことを認め、反省の意を表明し、今後、労務政策として再発防止を徹底することを確約する。

(2)会社は従業員に対する思想差別、性差別、不当労働行為を行わない。

(3)コンプライアンス・ガイド(法令順守の手引書)を作成し、ホームページへ掲載する。基幹職の教育で必読資料として活用する。

(4)和解内容をすべての従業員へ周知し、職場融和のための働きかけを徹底する。行事は全員に声をかける。声かけを励行しない従業員・団体には行事の中止を勧告する。

(5)申告者が在籍している関係会社にも同様の措置を会社が求める。

(6)履行に疑義が生じた場合は、会社は協議の場を設け、誠実に対応する。

 

「しんぶん赤旗」(07年1月20日)より

(07.03.04)