精神疾患への慎重な対応と
 企業の責任で発病を防止する総合対策を

別表1

別表2(労災年金福祉協議会資料より)

    

別表3(05.2.13しんぶん赤旗より)

川重は、昨年の2004年10月21日、労働専門委員会に「従業員に対する受診命令」および「リハビリ勤務制度」の新設の提案(労組ニュース1475号)」をおこない、本年1月1日から「受診命令」制度が実施されています。(「リハビリ制度」は7月1日から実施。)

 川重では、別表1の表「傷病手当金傷病別(精神疾患)支給日数割合の推移」にみられるように、精神疾患休業日数が増加しており上昇に歯止めがかかっていません。
今回の制度は、適正な治療を受けさせ、症状の悪化を防止するという方策として一定の評価ができます。

しかし、新制度は、対象をあえて「私傷病」と言っているところが問題です。
別表2のように労働者が発病する精神障害の業務による心理的負担が指摘されている通り、すべてが私傷病と断言はできません。
川重で精神疾患の労働者が急増している要因は、リストラで常態化している人手不足による過重労働、コスト削減の圧力による極度の精神的プレッシャーなどがあげられます。

会社に今求められているのは、精神疾患を発生させないための対策です。
従業員とその家族を含め働く人たちの願いにこたえて過重労働をなくすことです。
長時間労働は、別表3に示すように全国的にみても続いています。
残業は、月45時間以内とし、月100時間を超える残業の禁止や医師との面接指導など加重労働をなくする「総合対策」を企業の責任で制度化することです。

別表4は、その(総合対策)の基本的な考え方と脳・心臓疾患による労災認定件数のうち、過労死の割合を示した表です。
健康障害防止のための総合対策は、全国的に長時間労働による健康破壊が広がったことから、残業時間の削減を行政通達で2002年に策定されました。

残業時間が一定時間を超えると、過労死疾患との関連性が徐々に高まるという医学的な検討結果にもとづき、残業は、月45時間以内とすること、それを超える場合は、医師の面接指導などを事業者に求めています。
これを徹底するために総合対策の内容を法に明記することが労政審安全衛生分科会で検討されてきました。

過労死の危険がもっとも強まる月100時間を超える残業の禁止や、医師との面接指導を使用者に義務づけることなどの総合対策です。

私たちは、企業の責任で加重労働をなくする「総合対策」と、いま病気の従業員が安心して治療に専念できるよう、発生と治療の両面から実りある対策が実施されるこそ労働者の願っていることだと考えます。

別表4((05.2.13しんぶん赤旗より)

特に自律神経の乱れによる精神疾患にたいしては、医学的な検討結果を尊重すると同時に、単なる私傷病としてあつかわない慎重さが求められていると考えます。

(05.04.03)