造船産業の死亡災害はなぜ多い

 

 日本の造船産業は、中国をはじめとするアジア各国の経済成長に加えエネルギー需要の高まりを背景に受注量は高水準となっています。
 そのような状況の中、昨年に川崎造船神戸工場でクレーン倒壊事故により3名の方が亡くなられましたが、この2、3年で造船業の災害による死亡者数が増えています。

 この2、3年における造船業の死亡災害の特徴は、

1.従業員と協力従業員の区別では、約70%が協力従業員です。
2.勤続年数は、約30%の人が1年未満で災害にあっています。(3年未満の人で約54%)
3.年齢は、50歳以上の高齢者が約54%です。(60歳以上は約20%)
4.死亡原因で一番多いのが、墜落・転落で、他に挟まれ・巻き込まれ、崩壊・倒壊などです。

 この特徴から見えてくるのは、死亡者の約70%が協力従業員で勤続年数が少なく高齢者の災害が多いということです。この背景には、1990年代後半以降、財界・大企業の要求にもとづく一連の労働法制改悪により正規雇用が急減し、非正規雇用が急増していることです。造船業では2002年頃から正規従業員数より協力従業員数が多い状況となっています。

 そして、2002年頃から造船業の竣工量が年々増えており、仕事量として多忙な状態となっています。そういう状況で、工程を守るべく生産性を最優先し、安全性を軽視した作業によって災害は起こります。特に協力従業員ということで、安全教育が徹底されているでしょうか?従業員、協力従業員を問わず、特に経験の浅い社員には、徹底した安全教育を行うことが大切です。

 製造業の中でも造船は、鋼材から切断、加工、組立の順を経て、部分的な船体の数十トンもある巨大なかたまりであるブロックを製作し、搭載して建造します。重い鋼板を吊ったり立てたりし、高所での作業も多く複雑で危険な作業です。

 個人の注意力だけに依存するのではなく、企業の社会的責任として危険な職場を一掃し、安全な環境づくり、安全対策を実施することが不幸な事故を起こさないためにも大変重要です。

 企業の異常な利潤追求によって安全対策がなおざりにされている現状を打開し、災害による死亡者がいなくなるよう、本当の安全第一が求められます。

 

【図表1】は「全国造船安全衛生対策推進本部」の資料による。
【図表2】の従業員数/協力従業員数は「全国造船安全衛生対策推進本部」の資料、
竣工量は「日本海事協会・データ集」の資料による。

(08.12.03)