エルダー労働者の怒り

過去最高の利益を達成した会社

2007年5月24日開催された中央経営協議会において、「2006年度の当社業績については、売上高1兆4386億円、連結経常利益490億円となり、対外公表値である連結経常利益400億円を大きく上回り、また、ROICにおいては、目標の9%に僅かながら及ばないものの特別損失を除いて考えるなら、実質的には目標を達成したと言える結果となった」、「過去最高水準を達成。2007年度も連結ベースで前年度決算を上回る見通し」(労働情報NO.609)と報告されました。

過去最悪の減額となったエルダー労働者

会社は2004年4月1日から人事処遇制度に関する構造改革(TAR-GET)を実施しました。これは定期昇給制度の廃止、高齢者賃金の大幅カットなどで成果主義を基本とした賃金制度、昇給制度に改悪されたものです。
また、2005年度から満60歳到達者からエルダー階層として定年延長制度を実施したものです。
あるR1労働者はターゲット実施前から比べると2年目で調整給(現行賃金との差額を年齢によって3年から5年で減らすもの)も減り6.4万円の減額、60歳を向かえエルダーになるとTAR-GET実施前から比べ21.6万円の減額となり給料が約半分になってしまいました。(グラフ参照)

このエルダー労働者は、エルダーになった当初は前年の収入で計算される各保険料、住民税は変わらないので引き去り額は変わらず、収入は半減し、手取りが10万円にも満たなくなるため、後は死んでも葬式代だけあれば何とかなるだろうと高い保険料を天引きされる生命保険を解約し、住宅ローンの月額を少なくなるように銀行と掛け合い毎月の手取り額が減らないように工夫しているそうです。しかし、結局は生活費が赤字になり銀行預金がすごい勢いで目減りしていると嘆いています。これに、最近の定率減税の廃止から来る住民税のアップでさらに追い討ちをかけられています。

過去最高の利益を生み出したのは誰?

過去最高の利益を達成した会社と過去最悪の減額となったエルダー労働者の生活ぶりのこのギャップはどう受け止めたらよいのでしょうか。

TAR-GET1、2のアンケート結果が労組ニュース第1557号に報告されていますが、R系列エルダー階層の賃金制度については大いに不満がある55%、やや不満がある31%で、賃金水準については大いに不満がある57%、やや不満がある35%で圧倒的多数の人が不満を表明し、改善を要求しています。

また、会社は年金の給付制限や高年齢雇用継続制度を活用しながらエルダー階層の賃金を低く抑えています。従って給料は大幅に減少し年金や給付金ももらえない状態の労働者もいます。

これまで人生のほとんどを会社に貢献してきたエルダー労働者を定年延長の美名の下に奈落に突き落とす人情のなさは、若者の将来の夢も打ち壊しています。
世界の川崎重工で働く労働者の将来の地位を守るためにも、改善を要求しましょう。

(07.07.01)