「はぐるま」 2015年 3月号外


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いっせい地方選挙 川崎重工業
副社長・元副社長の号令のもと、なりふり構わぬ企業・組合一体の「ぐるみ選挙」を展開

「ぐるみ選挙」は憲法違反であり、川重は自ら掲げた宣言「いかなる状況、いかなる場面においてもコンプライアンスを徹底する」(社長コンプライアンス宣言)を守れ!


労働組合の支部委員・職場委員らを、毎土日、後援会加入の戸別訪問に動員

川崎重工業は、昨年11月、副社長・元副社長の出席のもとに、明石市会議員選挙に向けた決起集会を工場内で開きました。集会には、人事本部や各カンパニー、関係会社や労組関係の各幹部200名以上が出席しました。

その後、会社が主体で、労働組合が実行部隊となり、特定候補者への支持押しつけや後援会加入のための戸別訪問など「ぐるみ選挙」を各工場で展開しています。動員されている労働者からは、「休日までなんでこんなことをせにゃならんのか」「世間では賃上げに頑張っているのに」などと不満の声があがっています。

企業は政治団体ではない。特定候補者への支持押しつけなどは憲法違反であり、コンプライアンス違反だ

企業は、憲法によって選挙権、投票権を保障された国の主権者にはなりえず、選挙権をもっていません。特定の候補者を川重の「公認候補」と担ぎ上げていますが、川重は政治団体ではないし、利益を得ることを目的とする営利団体です。そういう企業が政治に影響を与えること自体、国民主権を侵害することになります。

ましてや、職務権限を利用して特定候補者への支持押しつけなどを強要することはとんでもないことです。憲法で保障する基本的人権、思想・良心の自由を侵し、公職選挙法の「選挙が選挙人の自由に表明する意思によって、公明かつ適正に行われること」にも違反します。また、労働契約で「政治活動」をすることなど契約していないし、就業規則にも「選挙活動」をする規定はどこにもありません。これらの「ぐるみ選挙」は、憲法違反であり、『社長コンプライアンス宣言』を、経営者自らが投げ捨てるものです。

労働組合は、特定の政党や候補者への支持の義務づけをやめ、思想・良心の自由と労働組合の団結を第一に

政治の動向は、労働者の生活と権利に大きな影響をもたらしますから、労働組合も政治や選挙を重視する必要があります。だからと言って労働組合が、特定の政党や候補者を支持しこれを義務づけては、思想信条や政党支持の違いを超えて、要求で力を合わせる労働組合の団結を壊すことになります。

労働組合に求められることは、組合員の切実な要求を基準に、選挙の意義や国民的課題と争点を明らかにし、組合員の政治的意識を高めることではないでしょうか。

私たちは、企業も労働組合も、労働者一人ひとりを主権者として尊重し、自らの思想信条にもとづいた政党支持や選挙活動・後援会活動の自由を完全に保障することが社会的責任であり、そのことによって必ずや組織も発展すると考えています。