内部留保を賃上げ・雇用確保にまわせ!

川重は2008年度業績予想を下方修正しても利益はある

 川重は2009年1月30日、「平成21年3月期 業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ(川重ホームページ)」で、2008年度連結業績見通しを売上高1兆4500億円から1兆3300億円に、経常利益550億円から280億円に、当期純利益260億円から110億円にそれぞれ下方修正することを発表しました。さらに、3月19日には今期の配当を1株当たり5円から3円に下方修正すると発表しました。

 主な理由は「為替レートを変更したこと、また、汎用機をはじめとする量産型部門において想定を上回る市場の縮小を受けて販売損益計画を見直したこと」とのことです。
2009年1月に発表された社長年頭挨拶では「事業環境は急速に悪化しつつあります」との抽象的な表現で具体的な経営数字は示しませんでしたが、'09春闘では業績下方修正を理由に賃金は据え置くとして労働者に経営責任を転嫁しようとしています。

 労働者に犠牲を強いる前に川重は何をしたのでしょうか。2008年度決算の経常利益は減少するといっても280億円、純利益110億円もの巨額です。川重グループは赤字になったのでもなく経常利益が予想の約半分になったのに過ぎません。

 そして、この純利益が配当金ならびに現金・預金や有価証券、機械・設備等の内部留保として蓄積されています。川重の内部留保を正確に把握することは困難ですが、参考までに川重の純資産額は2007年度末で3100億円以上あります。そのすべてではありませんが内部留保に匹敵する額です。

 グラフは過去5年間の当期純利益と純資産額の推移ですが、年々利益を純資産として蓄積してきていることが分かります。つまり、川重は内部留保を十分に蓄積しているのです。


出所:川重の有価証券報告書より作成

 2009年3月5日に労働運動総合研究所が発表した「解雇規制と失業保障、雇用創出のための緊急提言」の中で「・・・例えば、自動車メーカー17社の連結内部留保は、2001年3月期の15兆円から08年3月期の30兆円へと15兆円も増大し、他方で労働分配率は01年3月期の55.3%から、07年3月期には40.9%へと大幅に下落している。労働分配率を抑え、労働者の犠牲で内部留保を増大させたことは明らかだ(下線は筆者)」と指摘しています。
 つまり企業の利益を労働者の賃金を抑制し、派遣切りなどによって内部留保へまわしているのです。

 現在の川重グループ従業員は約3万人ですから、仮に一人当たり1万円/月の賃上げを実施するとしてグループ全体の年間費用は3万人×12万円/人・年=36億円/年となります。2008年度末純資産額の約1.2%を賃上げにまわすだけです。
また、年収300万円の派遣社員1000人の雇用を確保すると仮定して30億円、純資産額の約1%程度です。
これらは決して経営を揺るがすような額ではなく、川重は内部留保を労働者の賃上げと派遣社員の雇用確保および正社員化の費用にまわすべきです。

(09.04.04)