また起きた重大災害

神戸工場の火災事故で派遣労働者4人が負傷

 

 4月4日午前10時45分頃、川崎重工神戸工場の「組立第一工場」内で、火災事故が発生し、下請け会社の労働者4人が負傷し、そのうち61歳と34歳の2人が病院へ搬送されました。怪我をされた方には、心よりお見舞いいたします。

 火災は、船舶用ディーゼルエンジンの部品の塗装をはがす作業中に発生しました。使っていたシンナーに作業中発生した火が引火し、ウエス(油拭き取り用の布)が燃え、この火が作業をしていた4人の作業服や軍手に燃え移り、腕や足などに火傷負いました。出火の原因については、生田署と神戸市消防局が今後さらに詳しく調べるとしています。

 また、会社から神戸市消防局への通報は、火災発生から2時間経過した後でした。遅れた原因について、会社の広報室は、「消火活動をし、負傷者を工場内の診療所で処置した後、工場の救急車で病院に搬送した。初期消火や負傷者の治療を優先した結果」と弁明しています。これに対し、神戸市消防局は、「人命への対応があったとはいえ、迅速な通報を心がけてほしい」と苦言を述べています。

 重大災害が続発する背景には、「高操業の陰で、安全がないがしろにされている」という、昨年8月のクレーン倒壊事故の時に捜査関係者が指摘した問題が、いまだに改善されていないのではないでしょうか。
 右のグラフは、『全災害件数と川重グループの連結経常利益』の関係をグラフにしたものですが、業績が急速に好転した2003年度以降、災害も急増していることが見て取れます。

 また、請負労働者や派遣労働者が被災する事故が最近増えていますが、この背景には、会社が正規労働者を減らし、非正規労働者を増やしていることがあります。

 短期雇用の請負労働者や派遣労働者は、職場環境の把握も出来ていないため、どこに何があるか、危険はどこにあるかも正社員に比べ把握できにくい状況にあります。加えて、仕事量が多く作業工程に余裕がないことも事故の背景にあります。
 右のグラフは、比較的に大きな災害である休業災害の件数を見たものですが、業績が好転した2003年度以降、正規従業員に比べ、構内協力従業員(派遣労働者など)の災害が急増しています。
 ある職場では事故について「作業を指示した担当者より、日常的な安全対策が出来ないほどの、余裕のない工程が原因。現場は足の踏み場もないくらい部品であふれている。」などの怒りの声が上がっています。
 多くの労働者の犠牲が出る前に、会社は「利潤第一」ではなく「安全第一」の職場環境づくりに方針転換すべきです。

(08.04.28)