マルちゃんの"異議あり"トーク

第7話:アベノミクスの「骨太・新成長戦略」と川崎重工の「パートナー社員制度」の巻

2014年6月24日、安倍内閣は、「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)と「日本再興戦略改訂」(新成長戦略)を閣議決定しました。

それを先取りするように川崎重工は、6月6日、会社と組合で行っている賃金専門委員会の席上で、「パートナー社員制度の新設」を提案し、10月1日より実施しようとしています。

従業員からは、「パートナー社員制度」って何?という声が聞こえています。

会社の説明では、限定的な「補助的業務」や「特定分野の定常的業務」を、正社員と同様のような雇用条件で行おうとする社員雇用制度です。

しかし、内容をじっくり見ると「採用は事業所単位」であったり、「低い職域業務」に限定されていて、正社員の雇用条件に格差や差別を公然と持ち込む内容となっています。

そんな時、またまた登場。マルちゃんの"異議あり"。

「骨太・新成長戦略」から見えてくる「パートナー社員制度」の狙いを、マルちゃんとアベちゃんのトークから見てみましょう!

マルちゃん

「骨太の方針」とか、「新成長戦略」とかという、マスコミ受けのしそうな閣議決定の中味を教えてもらえんかの。

アベちゃん

よくぞ聞いて下さいました。

これはですね、アベノミクス総仕上げである「第三の矢」を、より具体的にターゲットを絞って狙いを定めたものでございます。

第一は、法人税減税や公的年金資金の株式による運用の拡大でございます。

第二は、社会保障などで自助・自立のための環境整備を進めて、徹底的に効率化・適正化を図っていく所存であります。

第三は、医療・介護分野での法人化を推進し、徹底的な無駄を省きコスト削減に努めてまいります。それに加え、国民の皆様が自由に診療できる仕組みや、混合診療なども考えております。

第四は、働き手のニーズに応えて新たな労働時間制度の創設を考えております。この制度の眼目は、労働時間の長さと賃金をリンクさせるという古臭い概念を捨てて、労働者の裁量によって自由に働けるものを考えております。また、多様な正社員制度も考えております。

第五は、戦後の古臭い農協や農業委員会を中心とした農政を廃止して、企業が参入しやすい仕組みを構築しようと考えています。

第六は、女性の活躍の場を拡大すべく、指導的地位に占める女性の割合を高めることを考えております。

第七は、カジノを解禁して経済の活性化に努めてまいります。

その他、まだまだ品揃えを考えております。

わたくしは、以上の点を成し遂げるために、1月の世界経済フォーラムのダボス会議で世界の皆様に、いろんな規制や既得権という「岩盤」も私の「ドリル」から、無傷ではいられないと国際公約をしてまいりました。ご期待下さい。

マルちゃん

何が、ご期待下さいじゃ。よくもまあ、これだけ悪行を考えつくものじゃ。

表面上は、耳障りの良い言葉を並べても、日々のあんたの悪行で苦しんでいる国民は、お見通しじゃ。

あんたが、「ドリル」で砕こうとしているのは、真実を見極めようとしている国民の目じゃろ。

アベちゃん

目だけじゃございません。耳も口も・・・。

オット、マルちゃんに乗せられそうでございました。

まだ、他に何かご質問でもございますか。多忙ですので、このあたりで失礼させて頂きますが・・・。

マルちゃん

まだ、話はこれからじゃ。

もう一つ、教えてくれんかの。

川崎重工では、「パートナー社員制度」というものを新設するそうじゃが。何か社長から聞いとらんかな?

アベちゃん

「パートナー社員制度」というのは、村山君からは聞いておりませんが、経団連との話し合いの中では、先の「第四」の中の「多様な正社員制度」については、十分に話し合われております。

いろんな会社では「限定社員制度」などと言われて、勤務地や職務を限定した「正社員」の仕組みづくりを行っている所であります。

マルちゃん

それでは、聞くが。、「補助的業務」・「特定分野の定常的業務」・「低い職域業務」・「採用は事業所単位」は、何を意味しとるのかの。

アベちゃん

よく知りませんが、「補助的業務」・「特定分野の定常的業務」・「低い職域業務」は、「職務」を限定していることだと考えられます。つまり、「正社員」の二極化を目論んでおります。このことにより、非正規社員と正規社員の溝だけではなく、正規社員の中にも楔を打ち込む狙いも含まれております。

また、「採用は事業所単位」については、「勤務地」を限定しているものと考えられます。このことは、事業所が閉鎖になったら正社員と言えどもすぐに解雇できるという意味を持たせております。これは、長年のわたくしどものパートナーである、経団連の夢でもあるのでございます。

マルちゃん

なるほど!今まであんたと話しても言語明瞭意味不明のことが多かったが、今回は、明快に理解できた。正直な人じゃの。

今回の"異議あり"は、川崎重工に言わんとだめじゃの。

つまり、「パートナー」という耳障りのよい名称にしているが、「正社員」としての雇用条件を「限定」させているということじゃな。

アベちゃん

そのようでございます。ところで、わたくし、何かマルちゃんに褒められることを言いましたでしょうか。

マルちゃん

 誰も褒めてなんかおらん。
「派遣」だと批判を浴びるので、「パートナー」と言い換えただけで、安い賃金と自由に解雇できる仕組みは同じじゃ!

マルちゃんへの、共感・異論・反論・逆異議ありetc.待ってまーす!?

(14.08.24)