(中計見直しをどう見るのか?)
中央経営協議会での会社側発言内容から見えてきたことは、三つのことがあると考えます。と同時にマルクスの「資本論」の立場からその三つの点を見てみましょう。
一つ目に、米国に端を発しているサブプライムローン問題が引き金となって、原油高、原材料や消費材価格の一段の上昇、ドル安の進行などの「経済の混乱」によって、「当社グループを取り巻く経営環境は予断を許さない状況」にさらされていると会社は認識しています。
恐慌の一歩手前の危機感を会社側自身がマルクスの書いていることを知っているかどうかは別にして、実感していると思います。
二つ目に、会社側が自ら「全体的に無理な操業計画を立てて事業運営を行うことは考えておらず・・・」と語っているように、増産と設備投資・増員のバランスについては、以前から生産現場で働いている労働者が声を大にして訴えていたことをやっと認めたということです。
「資本論」の正しさを、会社よりもずっと早く、労働者は知っていたということでしょう。
三つ目として、利潤第一主義を一時的にせよ減速しなければならないほどの危機感を、会社は持っているということです。
これも「資本論」が指摘した通りのことが現実となって現れたことを会社も理解し始めたということでしょう。わざわざ1年間の「成長の踊り場を設け」たのは、明らかに一つ目の恐慌の危機への様子見と言ってよいと思います。
「生産のために生産させ」ることが「大衆の貧困と消費制限」に歯止めをかけられて、恐慌の引き金になることは、今の世界や国内が「経済の混乱」に陥っていることからして明らかです。
2008年度設備投資計画(連結)金額の1,100億円を2008年3月人員30,563人(連結)に還元すれば、1人当り360万円になります。
いま必要なのは、これだけの莫大な資本を、生産現場の大黒柱である派遣社員の正社員化や若い労働者の育成、熟練者の低賃金解消に使うことではないのでしょうか。