労働基準法の一部改正

労働基準法の一部改正
 このたび労働基準法が一部改正されます。
 長時間労働者の割合の高止まり等に対応し、生活時間を確保しながら働くことが出来るようにするため、労働時間制度の見直しが行われました。
 一部改正の概要は以下の通りです。施行期日は平成22年4月1日です。
 
 

現在

改正後

(1)
時間外労働の削減
時間外労働 割増賃金25% 1ヶ月の時間外労働 〜45時間 割増賃金25%
45時間超〜60時間 労使で時間短縮・割増賃金を引上げ(努力義務)
60時間超〜 *割増賃金50%(法的措置)
(注)*引上げ分の割増賃金の支払いに代えて有給の休日付与も可能
(2)
年次有給休暇の有効活用
日単位での年休取得 5日分は、子の通院等の事由などに対応して、時間単位での年休取得を可能とする。
(注)(1)60時間を越える時間外労働に対して割増賃金を50%とする部分については、中小企業に対して猶予措置を講ずる((1)のその他の部分および(2)については猶予措置なし)。

労組の要求と現状
 上記労働基準法の改正に関連して、労組は時間外労働割増率の改善のため (1)休日労働の割増率を50%とする (2)長時間労働における割増率の引き上げ、と 年次有給休暇の有効活用について(3)積立休暇取得事由の拡大 をAP09秋季要求でかかげていました。

 これに対し会社の回答は(1)に対しては休日労働の割増率を35%から40%へ引上げる。ただし、実施時期については、経営状況を総合的に勘案して別途決定する。(2)に対しては法改正に沿った対応を行う。(3)に対しては妊娠・出産に起因する症状(つわり)に関する事由を積立休暇取得事由に含める(労組要求通り)と11月18日の労働協議会で回答しています。

サービス残業の根絶を
 労組の要求を会社が受け入れて時間外労働割増率など改善されつつあります。
 そして、今回の労働基準法の一部改正は長時間残業をなくすために規制が強化されるものです。
 しかし現実には、部署によって労働基準法の規制内容から逃れるため、正確な残業時間集計をごまかしサービス残業が慢性化しているところもあります。
 真に労働者の命と健康と安全を守るためにも、また、製品の品質を確保し会社の信頼を得るためにもサービス残業は根絶すべきです。

 現実には、客先の無理な要求、設計ミスによる後戻り、購入品や支給品の納期遅れ、部品の誤作などで計画通りに行かない場合が多いものです。
 それに対して会社は、休日も予定に入れた余裕の無いスケジュールを設定して、無理やりそれに合わせるべく業務の遂行を強制しているのが常態になっています。
 このように工程を守ろうとすれば、休日出勤、長時間労働が重なり、労働基準法の規制を超える結果となり、会社の管理体制からくる無言の圧力から、サービス残業せざるを得ない状態になります。

 サービス残業を根絶するためには、生産計画、人員配置、代替え要員の不足、非正規労働者の多用を前提とした計画など様々な改善すべき点があります。

新しい労働のルールを
 欧州連合(EU)では残業、変形労働時間を含めて週48時間を越えた労働を禁止した「労働時間指令」、パートタイム労働者とフルタイム労働者の均等待遇を定めた「パートタイム労働指令」、雇用契約期間の定めがある労働は合理的理由がある場合に限定する「有用労働指令」、派遣労働者と正社員との均等待遇を定めた「派遣労働指令」などが欧州連合の共通のルールとして作られています。
 日本と同じように発達した資本主義のなかでもヨーロッパではこのような労働者の権利や健康を保護するルールが確立されているのですから、私たちの日本でも、このような働く人々を守る「ルール」にすべきです。

(09.12.04)