安倍首相がねらう「国家戦略特区」の恐るべき内容

   「ある特定の地域を指定し、その地域内で大胆な規制緩和を先行実施する。」安倍首相自らが主導し、「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」と執念を燃やす「国家戦略特区」構想が、いま現実のものになろうとしています。

   構想の核となる「雇用特区」では、従業員の解雇自由、労働時間の上限規制の緩和・撤廃、残業代ゼロ制度の導入・・と経済界の宿願が達せられます。特区内に本社をおけば、全国どの地方支店でも同じ「例外権」を行使できる、というものです。('13年9.17日付神戸新聞[内橋克人]投稿)
   安倍首相の呼び掛けに、いち早く呼応して、橋下大阪市長が9月11日「チャレンジ特区」案を大阪市と大阪府が共同で内閣府に提出すると発表しました。
   「御堂筋エリアを対象に、能力主義・競争主義に果敢にチャレンジする高度な能力を持つ内外の人材や、そうした人材を求める企業が集まる条件を整備するため、労働法制の緩和を図る」というもので、一定額以上の年収のある人を対象に、法律でしばりのある労働時間の上限規制(1日8時間、週40時間)を適用しない、解雇回避努力などを行った後でないと解雇できない規定を除外する、などの内容になっています。
   加えて、特区内で働く高能力・高収入従業者への所得税の緩和を行うことも盛り込んでいます。
   橋下徹市長は記者会見において、チャレンジ特区について次のように語りました。
 「メディカル特区よりも御堂筋特区(チャレンジ特区)のほうが、ちょっと大胆な話だ。
今までの日本には無いもの、朝日新聞や毎日新聞が大反対しそうな特区ですが、能力主義・競争主義というものを全面に打ち出して、一定の報酬以上の労働者には、労働法制は適用しない」というものです。

   労働法制は、最低限のルールとしてすべての労働者に適用されるものであり、ある地域の労働者に適用しないなど許されず、労働法制のイロハもわきまえない暴論・暴挙です。
   「ブラック企業特区だ」「過労死特区」などの批判の声が上がっています。
   自民、維新の暴挙とも言うべきこの企みを決して許してはなりません。

(13.09.23)