「さまよえる職場」は労働者に何度も負担を強いるもの

エネルギープラント部門の東京−神戸移転計画

 川崎重工は、会社の方針として東京本社に所在するプラント環境カンパニーのエネルギープラント総括部他を、来年4月に神戸工場に移転するする計画を決定し、8月20日に労働組合に提案、翌21日にカンパニー全員に案内を出しました。
 移転の目的について会社側は、2013年度にエネルギープラント部門が赤字になり、2014年度以降の所定の利益を確保するためには、「エネルギープラント事業の再生と強化を図るとともに、カンパニーとしての組織的な機能強化と効率化を実現していくことが目的です」と述べています。(8月21日付:プレジデント事業方針説明)
 また、神戸への集約によって先行きの縮小が見込まれる原子力部門の縮小や、他部門との人材交流(配置転換)をやりやすくすることを目論んでいます。
 対象となるのは正社員が239名、他に入業している派遣社員等60名も対象にするとしています。
 これだけの人数を異動させるとなると、家族や家の問題がつきまといます。もし異動が極めて困難な場合はどうするのでしょうか。
 組合への説明では、引越し費用や単身赴任への補助をするとしていますが、異動困難者には何も触れていません。また派遣社員に対する補助などには一切言及がありません。
 約40年前、エネルギープラント部門(旧ボイラ部門)は神戸工場にありました。
その後汽車製造を吸収合併した後に、大阪工場へ移転、さらには現業部門は千葉工場を経て播磨工場へ移転、事務・技術部門は東京設計事務所を経て現在の東京本社へと、移転を何度も繰り返しています。
 まさに「さまよえる職場」なのです。
 こうした会社による移転の繰り返しは労働者の生活を無視したものでしかありません。
 それぞれの労働者には個人的な都合があります。家のローンの返済が終わっていない、子供の進学が迫っている、親の介護が必要、などなど、さまざまです。
 それらを無視し、さらに何度も引越しを余儀なくされてはたまりません。実際、引越しは不可能と言うケースも考えられます。単身赴任もあるかもしれませんが、家庭を破壊するもので許されるものではありません。派遣労働者にとっても同じことが言えます。
 以前野田工場を閉鎖して播磨工場へ移転する話が出たとき、多くの労働者が苦しみを味わいました。のみならず、工場周辺の下請け企業も川重からの注文がなくなり、苦汁を味わいました。今回の事務・技術部門でも業務の下請け企業が影響を受けることは間違いありません。

 会社の一方的都合で遠方へ異動させられる、しかも数回にわたって繰り返されることで、そのたびに労働者が苦しみを味わうのはいい加減にしてほしいものです。

(14.09.21)