「はぐるま」 2017年 秋季号
NO.233



洞川湖(六甲)周辺(M.F)
Contents
 人事考課に生産性評価の導入 ものづくりの基盤は大丈夫か?
 総選挙の結果
 在宅勤務制度の導入について
 パートナー社員も正社員並みに上がる賃金制度を!
 大河
 始業前の体操は労働時間内にすべきだ! 
 軍事費概算要求過去最高の5兆2551億円
 日本郵便 非正規社員に手当・休暇なしは違法
 安倍9条改憲反対の「3000万人署名」達成を!
 読者の広場
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人事考課に生産性評価の導入
ものづくりの基盤は大丈夫か?


会社は、「より短い時間で成果を出すことを是とする企業風土を醸成する」ために、人事考課に生産性評価を、幹部職員は17年度から、一般従業員は18年度から導入すると発表しました。

生産性の向上は、これまでの失敗や工夫の上に、多くの人たちの協働の産物であり、また、一部の道を高速にしても出口で渋滞するように、全体のバランスが重要な要素だと思います。

会社は、生産性を阻害しているものが何で、それが個人の生産性評価によって解決するのか、その時の弊害などを説明していません。

実際に本制度が実行された場合、余分な労力の割に正しい評価ができるのか、チームワークにとって良い効果が出るのか、また、安全の分野や技術の継承、品質の向上が疎かにならないのかなど、本当に良い製品・サービスを提供するものづくり基盤が弱まらないか懸念されます。




総選挙の結果 「国難」は突破されたのか?
日本の未来を切り開く「市民と野党の共闘」の成長


誰が「国難」つくったのか

安倍首相は、少子高齢化や北朝鮮情勢が「国難」であり、その「国難突破解散」だと勇ましく命名して衆院解散にでました。

確かに二つは「国難」ではありますが、長年の異常な「財界中心」と「アメリカいいなり」の自民党政治がつくりだし、それを安倍首相が加速したものではないでしょうか。自らの責任の自覚がないだけに、この先、突破どころか底知れぬ恐ろしさを感じます。

自公は本当に「圧勝」したのか

自公の「圧勝」と報じられましたが、自民党の比例得票は33%(有権者比17・3%)で、全議席の61%を得たのは民意をゆがめる小選挙区制によるものです。

自民党の補完勢力である希望の党に野党共闘を潰されかけましたが、共産・立憲民主・社民の3党の立憲勢力が38から69議席と大きく前進し、「憲法を守れ」「戦争するな」の民意が示されたと言えます。

さらに「市民と野党の共闘」を発展させ安倍暴走政治のストップを

安保法制に反対するたたかいを通じて生まれた「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」と3党の共闘は、分断策動を乗り越え、とくに北海道・新潟・沖縄で大きく前進しました。さらに発展させ、安倍暴走政治を阻み、日本の未来を切り開きましょう。



在宅勤務制度の導入について


会社は来年1月1日より、月4回を上限とする在宅勤務制度の導入を予定しています。この制度では通信費、光熱費が本人負担となっていますので、将来的に適用する回数が増えると家計の負担が増加します。また、自宅の労働環境を整えるのも本人負担です。

労働安全衛生法では、会社に快適な職場環境を提供することを求めています。育児・介護等の時間制約者の支援を考えるのであれば、時短勤務の拡大を進めるべきではないでしょうか。



パートナー社員も正社員並みに上がる賃金制度を!


パートナー社員制度が導入されて3年になり、各工場で社員が増えてきています。来年、改正労働契約法の「5年ルール」㊟が適用され、会社はさらにパートナー社員の採用を増やすと予想されます。

パートナー社員の声

「半年ごとの契約切れの心配がなくなった」「福利厚生がよくなった」、「派遣のときよりも給与が下がった」「年齢がいくと給料が下がり心配。なって
本当によかったか」

まともに生活できる賃金制度にすべきだ

社員からは、上がらない賃金制度について、すでに不満や不安が出ています。導入当初、私たちは、何十年働いても本給がほとんど上がらない仕組みになっており(下のグラフ)、「無期雇用を代償に人格・人権を否定する賃金制度」だと批判しました。

会社は、従業員がまともに生活できる賃金を保障するのが最低限の責任です。ただちに、正社員並みに上がる賃金制度に是正すべきです。そして、職場の連帯の点からも、庶務その他の補助的業務についても正社員として雇用すべきと考えています。

㊟ 有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる。2013年4月施行。



20歳で入社し本給18万円とした場合。
昇降給率は基準の0.35%とした。

【大河】

神鋼の検査データ改ざん、日産・スバルの無資格者の完成検査。製造業大手のルール無視の不正行為が相次いで発覚しています。少し前にも、三菱自動車の燃費偽装や東芝の粉飾決算。「日本のものづくりはどうなっているのか」と国内外で不信を広げています。自社の利益を第一にデータ改ざんするなど、製造業として許されるはずがありません。

”いったいなぜ?” その背景にある問題として、第一に、もののつくり方自体が、社会的責任を果たさずに利潤第一主義に走っていることです。低賃金の非正規雇用の拡大や長時間過密労働の放置、下請け単価の引き下げや海外への生産シフト等々。そして、大きな機関投資家集団をバックに主要株主の上位を占めている資産管理信託会社が、この経営姿勢に拍車をかけています。

第二に、本来、大企業の社会的責任を厳しくチェックすべき公的機関と労働組合が、その役割をきちんと発揮していないことです。その要因には、政権党への多額の企業献金や、労資一体路線の問題があると言えます。

第三に、成果主義や労資一体などで、自由に意見を言える職場風土になっていないことです。

これらの三つの問題が重なり、ものづくりの力も低下させているのではないでしょうか。ものをつくる人たちを大切にしてこそ、良いものがつくれるのです。真の信頼回復には、少なくとも、それらの問題の是正が必要でしょう。


 始業前の体操は労働時間内にすべきだ!

会社は、6月の株主総会で、「始業前の体操については、任意の参加を呼びかけており、強制力のあるものではない。したがって、業務性はないので法違反ではない」と苦しい答弁をしています。

ラジオ体操は、神経の働きを活性化させ、血液を筋肉や脳にうまく循環させ健康・安全に効果があり、ウツの予防にもなると言われています。

会社は、労働者の尊い命と安全をあずかっているわけですから、それだけ大事な体操を、「法違反ではない」「任意の参加」などと言わずに、責任持って労働時間内にすべきです。



軍事費概算要求過去最高の5兆2551億円



18年度軍事費概算要求
最大の特徴は、北朝鮮のミサイル発射への態勢強化と、安保法制に基づく「海外で戦争する」自衛隊の改造へ、大軍拡を加速させていることです。

「ミサイル防衛費」に1791億円要求
北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するという「イージス・アショア」(陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム)の導入に着手。また導入しても日本全土をカバーすることは不可能だとして「北朝鮮の策源地(敵基地)」攻撃に必要な研究費を盛り込んでいます。

米国製の海外派兵型兵器も次々と導入
日米閣僚会議(8月)の共同発表で、日米同盟の役割拡大、防衛能力強化が明記され、F35A戦闘機6機、オスプレイ4機等が計上されました。FMS契約(代金前払いで米政府が価格、納期等条件を決定)の金額は、4804億円(昨年の34%増)にも達します。

11月の日米首脳会談でもトランプ氏の米国製防衛装備品の売り込みに、安倍首相は即応しています。

効率的な軍拡手段としての”兵器まとめ買い”
軍事企業の要請で「国庫債務負担行為」を十年間に延ばした長期契約法が2015年4月に成立。50年間契約額が首位だった最大の軍事企業三菱重工を抜いて、川崎重工が2015年度に固定翼哨戒機(7年計画20機)をまとめ買いし、契約額3396億円で1位になりました。この様な際限のない軍拡こそ国難ではないでしょうか。

■オスプレイ3機 342億円
認可保育所(定員90人) × 285か所 待機児2.6万人分

■イージス・アショア2基 1600憶円
給付型奨学金 年額36万円 × 44万人分



日本郵便 非正規社員に手当・休暇なしは違法


日本郵便の期間雇用社員が、正社員と手当や休暇で格差があるのは労働契約法違反だと訴えていた訴訟の判決が9月、東京地裁でありました。裁判長は、「年末年始手当、住居手当、夏期・冬期休暇、病気休暇が時給制契約社員にまったく支給されないことは労働契約法20条に違反し、各手当の不支給には不正行為が成立する」と述べ、会社に対して約92万円の損害賠償を命じました。

労働契約法20条は、雇用期限を理由とした不合理な待遇差を禁止しています。この判決は、非正規労働者の未来に希望を灯す画期的な内容です。



安倍9条改憲反対の「3000万人署名」達成を!


憲法9条は、日本、アジア、世界の宝であり、戦後日本の平和体制の柱です。安倍政権は、憲法に自衛隊を書き加えることを入り口に、9条改憲を行おうとしています。戦争の道に国民を引き込むことは許せません。11月3日には4万人が『9条改憲ノー』の声を上げ、国会を包囲しました。総選挙で改憲勢力が3分の2を占めました。9条改憲案の国会発議を絶対許さない「3000万人署名」を達成しましょう。


読者の広場 
兵庫工場には従業員が飲食できる施設がありません。かなり以前には工場に隣接した施設があったようですが、須磨潮涛荘も閉鎖となり職場のみんなと気軽に行ける施設は無くなりました。会社帰りにみんなで気楽に鍋を囲める施設が近くにあったらなと思います。      
(兵庫・T)
長期休業者について
明石工場でも数名の方が長期休業となっていますが、復帰は定かになっていません。企業が行うストレスチェック、メンタルヘルスケアは建前ばかり、抜本的な改善に至っていません。

全国産業安全衛生大会でも安全対策ばかり目立ち、衛生対策がどの企業もおろそかになっています。心・技・体がそろってこそ初めて健康といえます。

メンタルが原因での災害が最近多いと聞きます。工場の安全衛生責任者は本気になってとりくむ必要があります。
(明石・安全チェックマン)
神戸工場の進水式
今年の3月末に船舶海洋カンパニーの今後の方針として、規模の縮小や生産を海外(中国)にシフトするという厳しい内容が発表されてから7ヶ月が過ぎました。神戸工場では、2015年12月の船の進水式から、一年10ヶ月ぶりに、潜水艦の進水式が11月6日にありましたが、やはり神戸工場に造船あり、120年の歴史がこれからも続きますようにと願っています。
(神戸・造船ファン)
最近、定時日の17時にかなりの音量で軽快な音楽が流れてくる。その違和感に職場で失笑続出。早く家に帰りたくなる気にさせる作戦らしいが「感覚がずれている」と言う人も。帰りたくても帰れない人には耳ざわりなだけかも知れない。勘違いのままいくなら、せめて郷愁を誘う静かな音楽にして欲しい。
(神戸・T)
今年から創立記念日のバームクーヘンの配布が無くなりました。前にも紅白饅頭の配布が一時無くなったことがありましたが、毎年楽しみにしていました。みんな日々一生懸命働いているのに無しっていうのはとても残念です。(西神戸・甘党)
今回の総選挙の特徴は?
突然の衆院解散で選挙に打って出た安倍自公政権にとっては、結果過半数を確保しましたが、憲法9条改憲は絶対に実現させてはなりません!そして、共闘勢力の民進党を分裂させる「希望の党」を立ち上げ、市民と野党の共闘勢力を少数派に抑えようと考えましたが、「市民と野党の共闘」は草の根で力強く広がって発展していることが証明されたと思います!
(神戸・K)
選挙の次の日の月曜日、話題にもあがってこない選挙結果。あれだけ世の中を騒がしたのに不思議なところだ。政治と宗教の話は禁句というのは本当だ。みんな投票しているのかな。
(本社・明子)
『本の紹介』
講談社現代新書「知ってはいけない隠された日本支配の構造」矢部宏治著を紹介します。

「日本の上空は、すべて米軍に支配されている」というセンセーショナルな提起で始まり、首都圏の上空が横田空域で米軍の制約を受け、沖縄では民間機は沖縄本島のはるか先から低空飛行で那覇空港に向かわなくてはならない現実があります。

米軍による勝手放題を許している対米従属が法的にどう許されてきたかを解明しています。
(Y記)


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